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永住者と高度専門職2号の注意点 Apr 01, 2022

永住者と高度専門職2号の注意点

こんにちは、新宿は高田馬場の入管業務専門の行政書士の辻です。
今日は、親を呼び寄せたくて変更する高度専門職、特に2号における注意点を話したいと思います。

専門家さえ見逃していた盲点と言えるものです。

0、前提となる条件

永住者と高度専門職2号の違いや、それぞれのメリットなどは世の中にごまんとあります。
基本的には両方とも「在留期限の定めなし」となっていて、在留期限に制限がありませんから、どちらも実質的な永住と言っていいという言説です。

しかし、この2つが実質的に同じだと考えてしまうことに大きな間違いがあって、巨大な落とし穴が空いています。

特に、高度専門職2号を選択するときは、ほぼ必ず小さな子供の養育のために親を呼び寄せるためのケースでしょう。
そして、この子供関連で、注意すべき点があります。

今回考える前提として、永住者であったものが、子供が生まれるということで、高度専門職2号(1号)にしたい(戻りたい)というケースです。

この時、高度専門職2号になるためには1号を3年以上やっておく必要があります。
(ちなみに、これからの落とし穴は、高度専門職1号でも同じことが起きます。)

高度専門職1号として3年やっておいた後、一度、永住許可を得て永住者として過ごしていたが、その後、妊娠が発覚し、生まれてくる子供のために本国にいる親を安定的に呼び出したくて、高度専門職2号に変更したいというケースを想定しています。

1、永住者の子は出生をもって永住者、では高度専門職2号の子は…

永住者から生まれた子は、30日以内に永住申請をすれば、取得永住といって、出生時から永住者として日本に在留することが可能です。
これに関しても世の中にはごまんと情報がありますが、とにかく30日以内、パスポートが無くても大丈夫なので、30日以内に入管に申請書を出すことが最重要です。

さて、では、高度専門職2号から生まれた子供の在留資格は何になるでしょうか?
期限の定めなしで、実質的には永住できるから、子供も永住者となれるでしょうか?

答えはNoです。

高度専門職2号は、あくまで就労系の在留資格ですから、その子供は在留資格「家族滞在」しかもらえません。

あれれ?

前提として、この方は永住者だった人でした。

永住者だった時に子供が生まれれば、子供は永住者なのですが、高度専門職2号になってしまうと、子供は家族滞在にしかなれません。

これは恐ろしい差であることが分かります。

つまり、永住者と高度専門職2号は全く同じではないということです。


さらに恐ろしいことはその配偶者に起きます。

永住者の配偶者は、在留資格「永住者の配偶者等」として在留することが出来ます。

ここで、永住者であったものが高度専門職2号に変更されると、この配偶者は、もはや永住者の配偶者ではありません。
ということで、この配偶者は、在留資格「家族滞在」になるしかありません。


もし、この永住者の配偶者であったものが、仕事をしていたなら、それはもう大変です。
まだ技術・人文知識・国際業務に該当する仕事なら、大卒が無くても、特定活動へ変更することが出来ます。

しかし、もし、現業的職場(普通のアルバイト)であった場合は、家族滞在になってしまいますから、包括的資格外活動許可の範囲である週28時間に就労時間は制限されます。
タイムカードを押さない仕事であれば、別表の在留資格に該当する仕事の場合に限り働くことが出来て、その場合は、個別的資格外活動許可を得なければなりません。

本体者が永住者から高度専門職2号になったとたんに、配偶者の就労は制限されてしまうのです。


怖ろしい思考実験をして見ましょう。

例えば、第1子は、「永住者」ー「永住者の配偶者等」の時に産んだとします。
この時、第1子は取得永住により、永住者となれます。

その後、第1子を養育するために親を呼び寄せたいとして、永住者が高度専門職2号になったとしましょう。

つまり、夫婦は「高度専門職2号」ー「家族滞在」となります。
そして、親が「特定活動」です。

ここで、そのまま第1子が7歳になるまでに、第2子が生まれたらどうなるでしょうか?

この時、第2子は永住者の子供ではないので、家族滞在でしかありません。

第1子は永住者だったのに、第2子は親を呼び寄せたばかりに、家族滞在となってしまいました!!

ななななんということでしょう!!

2、このケースで経るべき正確なプロセスは?

さて、以上のケースで、正しいプロセスはどうなるでしょうか?
ここでのポイントは本体者ではなく、配偶者です。

一般的に、永住者の配偶者は、健康な婚姻生活が3年あれば、永住者となれます。
よって、婚姻から3年が経ったら、即刻、永住者の配偶者等から、永住申請をすべきです。


配偶者が永住者となったならば、今まで考えてきたケースは起こりえません。

つまり、「永住者」ー「永住者」から生まれた子供は取得永住により永住者です。
もし、親を呼び寄せるために本体者が、高度専門職2号になったとしても、配偶者が永住者の場合は変更する必要がありません。
もちろん、永住者は永住者のままだからです。
ですから、万が一、第2子を産んだとしても、「高度専門職2号」ー「永住者」から生まれた子供なので、取得永住により永住者となります。

つまり、上述の落とし穴は、在留資格「永住者の配偶者等」の永住者の配偶者の方が、永住者とならないばかりに起きる問題だということでした。

3、幸せ家族計画は本当に計画的に

いつ結婚して、いつ子供を産むのかという計画を、一般的には家族計画などと言ったりしますが、外国籍の方の場合は、慎重に計画を練るべきです。

もし、今は永住者だけれども、高度専門職になることが出来るような方が、子供の養育のために親を呼び寄せる計画がある場合は、特に慎重になるべきです。

そのときは、自分が永住者であるうちに、配偶者の在留資格をまず永住者にしてから、子供は産まれるべきです。

もし、配偶者が永住申請が出来ない状態、つまり、婚姻から3年経っていない場合は、親を呼び寄せるのを諦めるか、子供が出生から永住者となることを諦めるかのどちらかとなります。


なお、「高度専門職2号」ー「家族滞在」から生まれる子供は「家族滞在」であって、この子が永住できるのは、
この子が7歳以上になって、もはや親を呼び寄せることが出来なくなった後、本体者が高度専門職2号から永住申請して永住者に戻すときに同時に申請することになります。


超レアケースでしょうが、もし万が一、第1子から6年後に第2子が生まれて、更に6年後に第3子が生まれたとすると、その間、ずっと親を呼び寄せることは可能ですが、
第3子が7歳になる時、第1子は既に19歳を超えていて、一般的には永住申請は、本人の責任でやるしかなくなります。

海外留学なんてしていたら、家族滞在で行くしかないので、在留資格を一度失う可能性も高いですし、そうなると日本で生まれたことのメリットは完全に失われます。

とにもかくにも、猫も杓子も、配偶者が永住者とならない限りは、ご自分の在留資格は永住者のままでいて、子供が生まれるということが、とても安全だということです。

永住者と高度専門職2号に関して、沢山ある専門家の情報は、「親を呼び寄せるならば、高度専門職2号に変更した方が良い」というような解説がありますが、これには大きな落とし穴が空いていることに気が付くべきです。
(いや、私も気が付いていなかったので、申し訳なかったのですが…)

もし、親を呼び寄せたくて、高度専門職2号(1号もおなじ)にしたい場合は、必ず、配偶者が永住者となってからにしないといけないということでした。

この落とし穴にはまってしまい、本来ならば生まれてた時に永住者となれた子供が、永住者となれないという悲しい出来事が起きないように、情報が拡散することを願っております。

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