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不法就労活動における資格外活動罪の話をしましょう Jul 07, 2021

不法就労活動における資格外活動罪の話をしましょう

こんにちは、新宿は高田馬場の入管業務専門の行政書士の辻です。
前の記事(←クリックすると飛びます)では、不法就労活動と不法就労助長罪や退去強制事由の関係を紹介しました。

今回はさらにそれを掘り下げながら、2種類の資格外活動罪について解説していきたいと思います。

1、在留資格を持っているものの不法就労活動のおさらい

前の記事でも紹介しましたが、在留資格を持って日本に在留している人に関する不法就労活動の根拠は、入管法第19条1項でした。

・入管法、第19条第1項
別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者は、次項の許可を受けて行う場合を除き、次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に掲げる活動を行つてはならない。
一 別表第一の一の表、二の表及び五の表の上欄の在留資格をもつて在留する者 当該在留資格に応じこれらの表の下欄に掲げる活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬(業として行うものではない講演に対する謝金、日常生活に伴う臨時の報酬その他の法務省令で定めるものを除く。以下同じ。)を受ける活動
二 別表第一の三の表及び四の表の上欄の在留資格をもつて在留する者 収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動

「一号」は、就労が出来る在留資格を持っているものが、その在留活動を超えて働いてしまったときに適用されます。
一方で、「二号」は、就労が出来ない在留資格を持っているものが、資格外活動許可を得ずに働いてしまったときに適用されます。

これをさせたもの(つまり企業側)は、不法就労助長罪が成立してしまうこと。さらに、経営者が外国籍の方であれば、非常に容易に退去強制事由に該当して日本から追い出されてしまうという話が前の記事でした。

では、不法就労活動を行ってしまった本人は、どのような罰則があるのでしょうか?

2、2つある資格外活動罪について

不法就労活動を行ってしまった本人には、資格外活動罪が成立します。
そして、非常に分かりにくいのですが、資格外活動罪には2種類が存在します

まずは、専従資格外活動罪と呼ばれるものです。この根拠は入管法70条1項4号に書かれています。

・入管法 第70条1項
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。
四 第十九条第一項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行つていると明らかに認められる者

ここで重要なのは、「専ら行っていると明らかに」という表現です。ここから専従という通称が付けられました。
「専ら」と「明らかに」の意味については次の節で解説したいと思います。


もう1つの資格外活動罪が、非専従資格外活動罪と呼ばれています。根拠は入管法73条です。

・入管法 第73条
第七十条第一項第四号に該当する場合を除き、第十九条第一項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行つた者は、一年以下の懲役若しくは禁錮こ若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮こ及び罰金を併科する。

先ほどの専従資格外活動罪ではない全ての不法就労活動は、ここに該当すると書かれています。

ここには、専らと明らかという言葉はありません。しかし、この言葉がないことこそが非常に恐ろしい意味を持っているということを後で解説いたします。

3、専従資格外活動罪とはなにか?

専従資格外活動罪に該当するには、「専ら」と「明らかに」という言葉の解釈がどのようなものであるかを紐解かなければなりません。
法の解釈の最終決定者は入管ではなく、裁判所です。

よって、これに関しては裁判所の判断である判例を見なければなりません。

まず、留学の在留資格においては、大阪高裁平成17年5月19日判決(平16(行コ)114)は、このように言っています。

「留学」の在留資格で在留する外国人に対しされた退去強制令書発付処分の取消請求につき,同号イの報酬を受ける活動を「専ら行つている」といえるかどうかは,その活動の時間の程度,継続性,報酬の多寡,留学の目的である学業の遂行を阻害していないかなどを総合的に考慮し,在留目的たる活動が実質的に留学ではなく,就労その他の報酬を受ける活動に変更したといえる程度に達しているか否かによって判断すべきである

最も大切な表現は、最後の表現です。
就労その他の報酬を受ける活動に変更したと言える程度に達しているか否か』によって専ら明らかに資格外活動をやっていたと判断すると言っています。


さらに、大阪地裁平成18年1月25日判決(平16(行ウ)15)は、同じように言っています。

同法24条4号イにいう同法19条1項に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を「専ら行つていると明らかに認められる」場合とは,当該外国人に認められた在留資格に係る在留目的が実質的に変更したと評価し得る程度に同項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行っている場合をいうものと解するのが相当であり,当該場合に該当するか否かについては,当該外国人に認められた在留資格の内容,当該在留資格に関する法の規制等にかんがみ,当該外国人の行っている資格外活動の内容,態様,程度,当該外国人に認められた在留資格に係る活動の遂行状況,当該活動の遂行に対する阻害の有無,程度等を総合勘案して決するのが相当である。

そして、判決文の中には在留資格「留学」における判断を更に詳しくこう言っています。

留学の在留資格をもって本邦に在留する外国人が資格外活動を専ら行っていると明らかに認められる,すなわち,当該外国人の在留目的が実質的に変更したと評価し得る程度に資格外活動を行っているということができるためには,少なくとも,当該資格外活動が当該外国人のその本邦に在留する期間中の学費その他の生活費用を支弁するための手段として行われ,その程度,態様が他の手段によっては支弁することのできない当該生活費用の一部不足分を補填するという範囲,限度を逸脱するに至っている場合であるか,又は当該資格外活動が留学の在留資格に係る活動(本邦の大学等において教育を受ける活動)の遂行を阻害する程度にまで至っている場合であることが必要であると解するのが相当である

重要なのは、資格外活動の収入が本来の目的を逸脱している「又は」学業を妨げる程度の資格外活動だと結んでいることです。

よって、留学生の場合は、時間的には学業を妨げない程度でアルバイトしていたとしても、就労系の在留資格と同程度に稼いでしまうと、それは専従資格外活動罪であると認められてしまうということです。


最後に、名古屋地裁平成28年2月18日判決(平26(行ウ)128)は、在留資格「技術」において、このように言っています。

「技術」の在留資格を有する外国人が法24条4号イに規定する「専ら行っている」とされるのは,当該外国人の在留資格に対応する活動と現に行っている就労活動等との関連性,当該外国人が当該就労活動等をするに至った経緯,当該外国人の認識,当該就労活動等の状況,態様,継続性,固定性等を総合的に考慮して,当該外国人の在留目的である活動が既に実質的に変更されてしまっているということができる程度にその就労活動等が行われていることを要するものと解するのが相当であり,同号イに規定する「明らかに認められる」とは,証拠資料,本人の供述,関係者の供述等から資格外活動を専ら行っていることが明白であると認められることを意味すると解される

「専ら」に関しては、関連性、状況、様態、継続性、固定性を総合的に判断するとして、「明かに」に関しては、証拠や供述等から判断するとしました。


以上のように、専従資格外活動罪については、様々な状況を考えて、もう在留の目的が変更されている状態となった時に適用されるということです。

4、非専従資格外活動罪とはなにか?

2で説明した通り、3の専従資格外活動罪以外の全ての資格外活動の違反での不法就労活動は、ここに該当します。

もう一度、条文を読んでみましょう。

・入管法 第73条
第七十条第一項第四号に該当する場合を除き、第十九条第一項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行つた者は、一年以下の懲役若しくは禁錮こ若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮こ及び罰金を併科する。

確かにここには、「専ら」とか「明らか」という限定するような言葉が書いてありません。

しかし、だからこそ、どのようなものであれ、資格外活動を許可を得ずに行ってしまえば、それはこの非専従資格外活動罪に該当するという恐ろしい事実を表しています。

つまり、例えば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を持って大きめのチェーン店に勤めてデスクワークをしているものが、荷物の搬入をしていれば、それは非専従資格外活動罪へ該当するということです。
条文を素直に適用すると、あらゆる場面において、非専従資格外活動罪が成立し得ることが、非常に怖ろしいホラーです。

ただし、入管側も、会社を運用するためには、様々な業務をこなさなければならないことを知っています。
よって、持っている在留資格以外の資格外活動を行っても、直ちに非専従資格外活動罪となるわけではないと説明しています。

それが、入管のホームページで見るコチラです。
http://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyukan_nyukan69.html(←クリックすると飛びます)

この中に書かれているのは、「在留期間中の活動を全体で判断する」という表現です。

例えば別紙1(←クリックするとPDFが出ます)に書かれているように、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の業務を行うとして企業に就職したが、全ての新入社員には現場で実務研修が行われる予定となっている場合、例えば、3年の在留期限の内、1年の研修期間があったとしても、在留期間を全体的に判断して、その実務研修は在留資格「技術・人文知識・国際業務」の外にあり資格外活動ではあるが、問題は無いと判断するということです。

この場合は、その実務研修は、日本人社員も含めた全ての人に行われるのか、その後のキャリアアッププランはどのようになっているのか、実務研修の目的や計画などを提出して判断されることになっています。

さらに、例えば別紙4(←クリックするとPDFが出ます)に書かれているように、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の業務を行うとしてホテルに就職してフロント業務を行っていたが、団体客のチェックインがあって、急遽、荷物を客室まで運ばなければならない場合、確かに荷物を運ぶというのは在留資格「技術・人文知識・国際業務」の外にある資格外活動ではあるが、それが一時的なものであって、すぐに本来の業務に戻るのであれば、問題は無いと判断するということです。

この場合でも、職務時間の多くを荷物運びや掃除、ベッドメイキングなどに従事してしまうと、まずは在留資格の更新を不許可にすること、酷い場合には非専従資格外活動罪での立件する措置が取られるようになります。

以上のように、入管は「日本で従事しようとする活動が、入管法に規定される在留資格に該当するものであるか否かは,在留期間中の活動を全体として捉えて判断する」と言っていますので、資格外活動を行ったとして、即、それが非専従資格外活動罪とはならないとしています。

だからといって、気軽に資格外活動を行うことは許されるものではありませんし、条文上は、それは非専従資格外活動罪に該当してしまう行為です。

いつでも入管が本気を出せば、職場を張り込みし、資格外活動を「主に」行っているかどうかチェックし、立件することも可能ではあるという点は留意が必要でしょう。

普段から、持っている在留資格で働ける職務の範囲はどこまでなのかを、きちんと把握して置くことが非常に大切です。


なお、就労が認められていない在留資格に関しては、就労活動を行えば、それは即、非専従資格外活動罪であることは注意が必要です。

5、資格外活動罪になるとどうなるのか

3の専従資格外活動罪になると、

『三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科』

となり、非常に重たい刑事罰を受けることになります。

さらに、専従資格外活動罪は退去強制事由に該当することになって、行政罰として退去強制手続きが取られるようになります。

4の非専従資格外活動罪になると、

『一年以下の懲役若しくは禁錮こ若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科』

となり、これも重たい刑事罰を受けることになります。

この場合は、即座に退去強制事由に該当するわけではありませんが、刑事罰が「禁錮以上(つまり、禁錮か懲役)」の刑に処せられると、退去強制事由に該当します。
罰金までならいいのですが、それより上になってしまうと、退去強制手続きへ移行してしまいます。

6、就労できる在留資格を持っている方の注意点

在留資格は基本的にはその人の日本で行う活動内容によってきめられています。ですから、基本的には職務内容が変わらなければ、職場が変わっても同じ在留資格です。

ただし、在留資格には、働く場所によって在留資格の種類が変わるものがあるのがいくつかあるので、注意が必要です。

例えば英語の先生などの何かを教える先生という職務です。
これは私企業で教えると在留資格「技術・人文知識・国際業務」ですが、文科省から学校とされている小中高校で教えると在留資格「教育」となり、大学で教えると在留資格「教授」となります。

よって、私企業のインターナショナルスクールや大手英語塾などで英語を教えている在留資格「技術・人文知識・国際業務」の方が、さらに小学校で教える場合は、基本的には資格外活動となりますので、資格外活動許可を申請しなければなりません。
もし、資格外活動許可を得ずに、小学校で教えてしまうと、それは非専従資格外活動罪となる可能性があります。

このように、在留資格そのものに対する知識が不足していると足元をすくわれる可能性があるので、慎重な判断と注意が必要です。
逆に働かせている側も、不法就労活動助長が成立したり、外国籍の経営者なら退去強制事由に該当したりしてしまいます。

このあたりは、外国籍の方が副業するにはどうすればよいか(←クリックしたら飛びます)という記事でも紹介しています。

7、就労できない在留資格を持っている方の注意点

これは、在留資格「家族滞在」と「留学」の方がほとんどでしょう。

普通は、これらの方々は資格外活動許可を受けて、アルバイトなどを直近7日間28時間の範囲内で行うことが出来ます。
これは、資格外活動許可の中の包括的資格外活動許可といって、非常に特別なものです。

しかし、去年から入管は資格外活動許可の運用を変更して、簡単に言うとタイムカード押さない業務は、包括的資格外活動許可の範囲外であるとしました。

例えば、留学生が語学等の家庭教師を個人事業主的に業務としてやる場合は、個別的資格外活動許可を得る必要が出てきました。

もし、個別的資格外活動許可ではなく、包括的資格外活動許可の範囲内で家庭教師の業務をしてしまうと、非専従資格外活動罪となる可能性があります。

もちろん、継続性が無い家庭教師などであれば問題は無いでしょうが、1年にわたって戦略的に多くの家庭教師先を持っていたとか、登録サイトに登録して個人事業主としてやっていたというような場合は、気を付ける必要があります。

資格外活動許可について詳しくは、こちらの記事(←クリックすると飛びます)を参考にしてください。

以上のように、不法就労活動を行ってしまった本人に対する罰則である専従資格外活動罪と非専従資格外活動罪を見てきました。

専従資格外活動罪は、在留資格を変更したと言えるくらいになってしまうと該当します。

一方、非専従資格外活動罪は、非常に簡単に成立する条文となっていますが、入管によって在留期間の総合的判断が取られています。
なので、一時的に違う活動を行うことは、基本的には問題はありませんが、あくまで、合理的な理由がある一時的なものに限られています。

どちらの場合も、結局は自分の持っている在留資格でどこまでの職務が出来て、どこからは資格外活動なのかをきちんと把握することが非常に重要です。

日本の在留資格制度は、非常に複雑で、難しいものです。
心配が少しでもあるなら、お近くの専門家に相談することを強くお勧めいたします。

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