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特定技能の外国人は単純労働者なのか? Jan 09, 2020

特定技能の外国人は単純労働者なのか?

2019年4月から入管法が改正されました。

特定技能という新しい在留資格が追加されて受け入れが始まっています。
ニュースを見れば、5年で34万人を受け入れる予定が、去年だけで1000人強の外国人しか受け入れることが出来ませんでした。

この理由の分析も、様々なされているところですが、それよりもニュースでよく見るフレーズが気になりました。

『改正入管法により単純労働者を受け入れるようになった』とか

『2019年4月、改正入管法が施行されて、日本は“移民受け入れ国”として舵を切った。』という表現です。


この「特定技能は単純労働者だ」という主張に関して考えてみたいと思います。

これは、実に大きなミスリーディングです。
様々なマスコミの記事、行政書士事務所のホームページでさえ、単純労働へ門戸を開いたなどの記述がありますが、決してそうではありません。

入管法には、単純労働という言葉は出てきませんし、制度上もそうはなっていません。
もちろん、政府も単純労働という言葉を使ったことはありません。


・単純労働者という言葉は、用いられない

「特定技能」制度を設計する上で、非常に重要だと思われる調査資料があります。

それは、独立行政法人 労働政策研究・研修機構が作成した資料である「諸外国における外国人材受け入れ制度~非高度人材の位置づけ~(リンクあり)」というものです。

これは2018年9月に出ていますので、改正入管法が議論されるちょうど少し前のことです。
国会(政府)が特定技能制度を構築するときの資料として用いていたことを否定することは難しいでしょう。
専門家、実務家は、目を通しておいて損はない資料であり、非常に示唆に富んでいます。

さて、この資料の題名通り、今回のような現業的な労働力を「非高度人材」として定義しています。
つまり、これは「高度人材ではない」という意味であって、単純労働者という定義ではありません。

もちろん、各国においてどの人材を高度人材として、どの人材を非高度人材とするのかは、その政策によって決められるべきです。
が、どの国においても「非熟練」という単語が用いられています。

(もっとも、非熟練=単純労働という図式を展開する場合もあり、ただの言葉遊びであるといわれても仕方ない面もあります)
(日弁連の技能実習制度即刻停止の会長声明においても「非熟練」という言葉が使われていたので、この言葉が用いられる歴史がある気がしますが、残念ながらあまり詳しくありません。)

この調査資料によれば、非高度人材がどのような人たちなのかということは、EUとアジアでは全く違う歴史を持っていることが書かれています。
特にアジアでは、非高度人材の受け入れの歴史が浅く、EUとは違った文化・社会の中で、どのようなメリットとデメリットがあるかは、社会的実験段階にあるとのことです。

非高度人材の受け入れによって、自国の経済・社会にどのような影響力があり、またリスクが生じるのかまだハッキリとは分かっていないために、日本政府は慎重な対応を迫られているわけです。

ちょっと、論が反れましたが、単純労働者として外国人労働者を受け入れることは考えていないということです。

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ちなみに、資料の中の注釈にある一節がとても興味深いです。

日本では就労目的の外国人材を移民と区別するために、外国人労働者と称することが多いが、欧州の認識では「外国人がその地に一歩でも足を踏み入れたと同時に、彼らは移民と認識され得る」と書かれていました。
陸続きで、人たちの交流が絶えずあった欧州と、海に囲まれ地政学的独立性を保っていた日本では、考え方が根本的に違うということですよね。
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・特定技能は日本の政策転換か?

日本における労働力としての外国人材の受け入れは、高度人材(熟練)に限って行われてきました。
いわゆる就労ビザと呼ばれている「技術・人文知識・国際業務」は、10年の経験を積むか、大学や専門学校などの高度・中度教育を受けたものでなければ在留資格該当性を満たしません。

ブルーカラーの現業的職場においても、パイロットなどの特別な場合を除いて基本的には10年の実務経験が必要とされています。
このような中で、現業的職場において非熟練の労働者に門戸を開いたのが特定技能です。

ここに、技能実習は現業的な労働力ではないか?と疑問に思われるかもしれませんが、彼らは労働力ではありません。
技能実習法第3条第2項「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」としてあります。
また、技能実習に関わる諸機関が、技能実習生を労働力として宣伝することさえ、禁止させられています。

技能実習法は、非常に規制の厳しい法律であり、適法に運用されれば、とてもいい制度だとは思いますが、現状では、そうなっていません。
これは、何より技能実習法の趣旨が全く現場に浸透していないことが問題です。

現在の現場の人手不足を担う担い手として、つまり労働力として技能実習生をあつかっている限り、外国人への非人道的な扱いは変化しないでしょう。

そして、この事情は、特定技能であっても同じだと考えます。
確かに特定技能は非熟練労働力の確保を目指して導入されました。
しかし、誰でも出来るような作業をするという単純労働者ではありません。

安く用いれる単純労働者というイメージは、今から払しょくしておく必要があります。


特定技能の在留資格を取るためには、日本語の試験と、技能試験を突破しなければなりません。

日本語の試験はN4ですから、非漢字圏の外国人にとっては半年ほどみっちり(300時間程度)勉強する必要があります。
技能試験においては、各分野で様々なレベルが定められていて、中々わかりずらいです。

しかし、建築・自動車整備分野において、既存の技能検定3級というレベルに設定されているのが、とても分かりやすい指標です。
技能検定3級は、今では実務経験の要件は課されませんが、だいたい実務経験で半年が必要とされてきました。

つまり、特定技能の外国人は、日本語の能力においても、技能の能力においても6か月程度の経験が積まれた、即戦力という位置づけがなされています。

このような試験があるということもまた、特定技能は単純労働作業に従事する者ではないことを物語っています。
入管法上の特定技能の定義はこのようになっています。

「相当程度の知識または経験を必要とする技能」

非熟練ではあるが、経験0の素人ではないという位置づけなのです。

何よりも、入管法上で日本人と同程度の報酬が義務付けられているということは、高度人材・熟練人材であるのと同じ扱いなのです。
よって、特定技能の外国人を受け入れる企業は、6か月の経験がある日本人と同じ報酬を支払わなければいけません。

そして、就労後も経験を積んでいくだろう熟練度に従って、能力給を上げていくというような、給与体系を詳細に決める必要があるということです。


特定技能の制度は、アジアでは、韓国・シンガポール・台湾などで行われてきた非高度人材の受け入れへの転換を意味しています。

これを移民政策への転換であるという論調もありますが、それは違います。

国連の移民の定義、6か月の滞在で短期移民であり、1年以上の滞在で長期移民であるというものを用いれば、日本には既に移民はたくさんいます。
戦後からずっと移民としての高度人材を受け入れ続けてきたということです。

もっとも、日本政府の用いる「移民」は、永住者という在留期限がない外国人のことを表しています。
近年、永住者も着実に増えているわけですから、移民政策は緩やかにではありますが、少しずつ進んでいたことになります。

逆に、特定技能が出来た改正入管法の改正案の最後には、「永住審査を厳しくすべきである」という意見が付けられました。
この意見を受けて、2019年7月から永住審査にかかる必要書類は何倍にも膨れ上がりました。

方向転換したとすれば、日本政府的な「移民」である永住者許可を減らそうとしている、移民政策とは逆向きの転換だといえます。

もちろん、前述の調査資料にも書いてあることですが、直接的に言えば使い捨てシステムである非高度人材の受け入れは、もし、使い捨てられなかった場合は、不法滞在というリスクを招くわけです。
それもそのはず、労働力としての外国人は、生活者でもあるからです。
生活者としての外国人材を支える政策も、政府は考えて実行に移しているようですが、まだまだ足りないでしょう。

登録支援機関がその役割を担っていますが、広い意味でのセーフティーネットとしての役割を負わせるのは酷です。
やはり、そこは無料で政府や各自治体が活躍してもらいたいところです。


・結論

「特定技能は、とても安く用いれる単純労働者だ」
「特定技能により、日本は移民を受け入れる国となった」

このような誤ったイメージが独り歩きすることは、まさに国益を損なうことでしょう。
アルバイト感覚で特定技能を雇い入れることは、全くのお門違いです。

ある程度の実務経験者を雇うのと同じ気持ちが無ければ、後で問題を起こす火種となります。

しかも、「労働力を受け入れるということは、生活者を受け入れることである」という意識は、国や自治体だけではなく受け入れる機関、登録支援機関、国民全体にあるべきものです。


現在は、政府としても、ゆっくりゆっくり様子を見ながら制度を進めている状況です。
書類が煩雑であるとか、審査期間が長いなどの論調が前に出ていますが、私はこの足踏みは良いものであると思います。

この時期に、もう一度問いかける必要があります。

私たちに、生活者として、外国人を受け入れる覚悟はあるのか?ということです。

彼らを生活者として受け入れなければ、技能実習制度の二の舞となりかねません。

もっと言えば、この問題は外国人だけの問題ではないのです。
日本の社会土壌として、会社員・雇用者を、生活者として見る文化は、あるのか?という問いをかけられているということです。

未だに、労働者がただの数字やパワーとしての労働力として見られるのではなく、一人格としての扱いがなされていないようなニュースが聞かれる昨今、特定技能外国人の受け入れは、日本の社会に大切な問いをかけているのではないか?と思っています。


この制度がどこに向かうかは分かりません。
しかし、外国人(日本人であっても)の労働者を、生活者として、一個人として、一人格として扱うことを忘れないことが最重要であると考えます。

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