どうも、こんにちは、東京は新宿、高田馬場の入管業務専門行政書士の辻です。
今回は、趣向を変えて、東京入管の管轄で、永住申請の審査期間が、ものすごく長期化していることを取り上げたいと思います。
1、現状
2024年5月末現在、
永住申請の標準審査期間は4カ月となっていますので、1年以上係るのは異常事態が起きています。
15か月の内訳は、おそらく11ヶ月くらいは審査も何も始まらずただの「待ち時間」で、
ちなみに横浜管轄も同じくらいの期間かかっています。
そして、恐ろしいことに、この審査期間はどんどん伸びています。
さて、その原因を探ってみたいと思います。
2、統計データの検討
入管の在留資格審査の数は、月毎に国の統計データとして公開されています。
こちら→https://www.moj.go.jp/isa/policies/statistics/toukei_ichiran_nyukan.html
この統計を使って、以下のグラフを作成しました。
これは、2023年3月から2024年11月までの、
(2025年2月20日時点での最新です)
よくわかるのは、まだ決済がなされていない総申請数が、
これは、新規申請数よりも決済処理数が少ないため、
不思議なことに、
これにより申請を処理する能力も落ち、
つまり、新規申請数が減るか、決済処理数が増えなければ、
ただ、何とかして、増やさないように2024年年末あたりから努力はしているようではあります。
3、待っていて状況は良くなるのか?
東京入管の状況が好転する兆しは全くありません。
ここ2年間くらい、審査期間はどんどん伸びてきました。
この傾向はおそらく止まらないと思います。
今、永住申請を出しても26ヶ月くらいは待つ必要があります。
現国会で、永住者取消制度ができました。
これにより、外国籍の方々が、そんな不安定な永住者にはなりたくないと考えて、新規申請が減っていくなら良いのですが、おそらく、
東京入管の処理能力がいきなり上がること(審査員が増えるか、
よって、外的な要因では、審査期間が短くなることはほとんど期待できないと言っていいでし
*ただし、自民党が選挙で負けて政権が交代した場合、
4、長期の審査期間のリスクは何か?
様々なリスクが考えられます。
審査期間が1年以上に及べば、例えば転職することが考えられます。
年収が上がるような転職は良いのですが、やりたいことをやるために年収を下げる転職をする場合もあるでしょう。
そのようにして、入管の年収基準を下回ってしまうリスクが生じます。
転職時、もし退職日と入社日が月をまたいでしまうと、国民年金や国民健康保険の支払いのリスクが高くなります。
例えば、運転される方は、交通事故に巻き込まれるリスク、自分で起こすリスクは、時間が長ければ長いほど大きいです。
軽微違反ならよいですが、裁判所まで行って聴取を受けるような大きな事故や重たい違反だと、それだけで永住申請は不許可になります。
転職や引っ越し、交通違反などの度に入管への届出と、永住審査官に対して追加資料を提出しなければなりませんから、
その都度、届出を出さないかも知れないリスクにさらされます。
病気になってしまい働けなくなってしまったら、年収要件を満たさなくなり、永住が不許可になったりもします。
よって、どんなに注意していても、人生で起こるマイナスな事件は、審査期間が長ければ長いほど起こり得る確率が高くなるので、リスクとして現れてしまいます。
5、私達ができる対策
では、私たち申請人側でできる対策はあるのでしょうか?
まず、引っ越しを検討しましょう。
審査期間が、こんなに長いのは、
他の管轄では、新規申請数よりも、決済処理数の方が大きいか、
ですから、東京入管の管轄さえ離れれば、なんとかなります。
東京入管の管轄は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、
かなり巨大な範囲ではありますが、
このあたりなら、
単身者で、会社が許してくれるなら、永住申請する前に、引っ越しをしましょう。
もちろん、家族がいらっしゃる方は、
ただ、東京入管の管轄だけが、異常な審査期間となっているため、Iターン助成金など出る自治体もありますし、
また、審査がしやすいような、
しかし、
長いのは、審査が始まるのを待っている時間です。
スムーズな審査を促すような書類で提出しても、
もちろん、変な書類で申請すると、審査が長引いてしまい、
ですから、
しかし、これは自分の審査期間を短くするというよりは、他人のために奉仕するという雰囲気が強い対策です。
*整った疎明資料の提出は、審査官の心象にも影響を及ぼすので積極的にすべきです。
5-2、既に申請してしまっている場合(2024/10/15追記)
(お問い合わせが多かったものを追記致します。)
既に品川入管管轄で申請をしてしまった場合、どうすればよいのでしょうか?
この場合、申請後に引っ越してもその書類は違う管轄へと移管されることは基本的にありません。
つまり、東京在住で品川入管に申請後に、静岡県(名古屋入管管轄)へ引っ越しても引き続き品川入管で審査がなされます。
もし申請後からの期間が短い場合は、せっかく引っ越したのに、ずっと待たなければならないことになります。
例えば、品川入管で26か月、名古屋入管で5か月だとすれば、申請後21カ月以内の方は、損をします。
万が一、品川入管で申請したけれども、そんなに長い時間待つことは出来ないとおっしゃるならば、
1、品川入管での永住申請を取り下げる
2、その後、引っ越す
3、新しい管轄の入管で永住申請を再び申請する
というプロセスを経る必要があります。
デメリットは、同じ申請を再びしなければなりませんから、書類を集めたりする事務の手間がかかります。
特に住民税関連の資料は引っ越す前の自治体で集めますので、集めるタイミングも考えなければなりません。
引越せる状況なのかどうか、引越しのためのお金があるのかどうかも判断材料となります。
永住者となってやりたいことがある、結婚の予定や出産の予定があるなどの事情で、早めに永住者になる必要があるならば、
金銭面、事務の手間などのリスクを超えても、メリットの方が大きいこともあるかも知れません。
『こんなに長い時間待つなんて知らなかった』
と、申請後に気が付いてしまった場合でも、一応、上述のように対応することは可能です。
(だからといって、申請後に取り下げて引越しして、再申請することが出来る人は、かなりのレアケースだとは思います)
6、結論
東京入管(+横浜入管)における永住申請の審査期間は、
この傾向は変わらず、今後、
これに対する対策は、引っ越ししかありません。
東京入管管轄では26ヶ月、他では5ヶ月と考えると、
(2025年2月20日時点での目安待ち時間:札幌10か月、仙台6か月、東京26カ月、横浜9カ月、名古屋5か月、大阪10月、神戸11か月、広島5か月、高松4カ月、福岡9カ月、那覇5か月)
永住申請の審査期間を短くするための引っ越しに、
特に単身者であれば、静岡県や福島県で、
もし、リモートでの勤務ならば、
永住申請の結果待ちに1年以上かかるのは異常事態です。
東京入管は早くなんとかしてほしいのですが、
よって、待てないのであれば、引越しをしてください。
待てるのであれば、申請してから15ヶ月くらい待って、
申請したことを、
もちろん、審査期間が長いということは、人生の様々な変化が起こる確率が高いということです。
これがリスクともなり、審査での落とし穴に落ちる危険もあるので、よくよく注意しましょう。