12月25日に閣議決定されている分野別制度の運用に関する基本方針と、各分野の運用要綱が発表されています。
法務省のホームページでご確認ください。
ここでは、既に日本に在留資格をもって在留している外国人が、特定技能に変更する可能性を追ってみたいと思います。
この視点は、海外から特定技能で呼び出すのには莫大なコストがかかることが予想されるわけですが、国内で外国人を見つければ、そのコストを圧縮できるので、非常に重要な視点だと考えます。
特定技能においては、日本語の試験と各技能の試験の2つをパスする必要があります。
14分野の全てで、日本語の試験はJLPT(日本語能力試験)を流用できます。
そのレベルはN4と、非常に低く設定されていることに疑問がわきますが、とりあえず置いておきましょう…。
では、技能試験と言えば、今年(2019年)4月から運用をスタートするのは14業務の内の「宿泊・外食・介護」の3つです。
これらの3つは、最速で4月に合格すれば、良いわけです。
ちなみに、「介護」だけは介護分野における専門語の日本語試験が別に課されます。
*もし、2019年3月に卒業する留学生が、4月に試験を受けて合格して、特定技能に変更できるかとすると、ちょっと微妙です。
というのも、留学のビザは卒業と共に該当性を失っているので、在留資格の取り消し事由にはならないものの、違法な状態での在留となります。
実務運用上は3か月は、何とか大目に見てくれる場合が多いのですが、今回はどうするかは不透明です。
ただ、山下法務大臣の答弁を信じれば、今年卒業する留学生も特定技能ビザによって日本に引き留める可能性は残されています。
ちなみに、2019年4月の時点で日本語学校に在留できる(つまり、2年たってない)外国人は大丈夫ですね。
「建設」と「造船」と「自動車」は既に既存の「技能検定3級」および「自動車整備士技能検定3級」を用いる運用としています。
建設系の技能検定3級は、最近6か月の実務経験要件が緩和されていますので、もしかすれば、最速で2019年の8月末に合格できるかもしません。
自動車整備士3級は、1年の実務経験が無ければ受けられませんが、自動車整備の専門学校を卒業すれば6か月の実務で大丈夫となります。
自動車整備の専門学校に行っている外国人で、アルバイトを自動車工場でしている人は、最速で10月に合格できるかもしれません。
その他の試験については、10月予定が「飲食製造」、秋予定が「ビルクリーニング」、その他は全て年度内としています。
閣議決定された基本方針によると、技能試験は原則として日本の国外で行われるとされていますが、14分野のほぼ全てで日本国内の試験運用を考えているようです。
(国内実施予定:10分野、未定:1分野、必要に応じて:3分野となっていて、予定なしはありません)
よって、かなりの分野において2020年までには在留する既存外国人が、特定技能へ変更できる可能性を持つことが出来ることが分かりました。
ただ、国内からの変更が認められ無い場合(正確には、国内の技能試験を受けられない場合)がいくつか列挙されています。
1、退学・除籍処分された留学生
2、失踪した技能実習生
3、難民申請中
4、技能実習の途中
留学生は退学・除籍してないこととされています。
要するに、授業をしている時に、日本語試験の勉強と、技能試験の勉強をして合格すれば、変更できるというような運用となっています。
基本的に専門学校や大学は、卒業すれば、「技術・人文知識・国際業務」ビザで就労できますから特定技能への変更はあり得ません。
この例外は、ホテル専門学校、自動車整備専門学校、調理師専門学校などです。
特に、自動車整備専門学校や調理師専門学校は卒業しても就労できませんでしたが、今回の改正によって、自動車整備工場とか、パン屋とかレストランに就職できます。
これは、かなり大きなアドバンテージを専門学校にもたらすと思われます。
次は、2019年4月に運用がすぐに始まる「宿泊・外食・介護」を抑えたいと思います。