特定技能が国会で審議になって、マスコミでは技能実習の酷さが殊更に取り上げられ、バズってる感じとなりました。
マスコミの取り上げるものって、流行があるのは仕方ないことですが、今更ガンガン訴えかけても遅いという感じはします。
(本当にひどいので、やらないよりはマシですが。)
そもそも、技能実習というのは、労働力として呼んでいるのではなく、外国人に日本の技能を身につけて本国に戻り活躍してもらおうという趣旨において、出来上がっている制度です。
制度自体が、日本が外国人に教えるという立場をとっているわけですから、賃金が安くても、それほど良心の痛みが無いわけです。
このインターンである技能実習生を、労働力の確保として使おうとする悪い輩がいたために、制度は破たんしました。
政府も罰則を厳しくするなどして対応しましたが、後の祭りでした。
これは完全に政府と諸団体の失敗なわけですが、その失敗をまだ政府も諸団体も謝ろうとしないのは、糾弾されるべきです。
本音で、「技能実習制度は失敗であった。」という政治家が表れてほしいものです。
一方で、いくら技能実習の酷さを強調しても、特定技能の制度を批判することにはなりません。
技能実習は、教えてあげるという上から目線で作られた制度でしたが、特定技能は働きにきてもらうという目線だからです。
その制度趣旨が180度変わっています。
政府の案である、技能実習から、特定技能へ変更を認める態度は、大きな問題です。
(俺たちは、失敗なんかしていないんだぞっという強気姿勢は何なんですかね・・・。)
がしかし、技能実習が失敗したから、特定技能もダメだという論点はずれています。
ここは私の私見ですが、技能実習制度は、即刻、廃止すべきです。
特定技能1号に関しては、使い捨て労働力であることを、国会で議論し、政府はそれを認めて、議事録に残すべきでしょう。
この上で、使い捨て労働者を、労働力として入国させるのか、させないのか、させるならどこまでの保証をするのか、を議論すべきです。
また、特定技能2号に関しては、永住者申請もできる、中度人材の就労ビザと認めることを議論すべきです。
他の就労ビザと同じ立場を与えて、同じ権利と保証を与える必要があると考えます。
入管法において、枠組みだけを作って、具体的な話をしないのは、ある意味では仕方のないことです。
刻一刻と変わる国際情勢に、柔軟に対応するためには、法律ですべてを決めることは、益とは言えません。
なによりも、それは立法府である国会の仕事でもありません。
外交と内政は、政府の仕事です。
ですから、外国人の政策は、行政府として出す政令、省令などで対応していくことが基本的に求められています。
「後だしじゃんけんだ」と言われても、どの外国人を入国させるかどうかは、政府の裁量であることは、至極当たり前です。
外国人が、外国に入国する権利、外国に滞在する権利というのは、保証されて無いのです。
そして、日本に在留する外国人の人権でさえ、それがある程度まで制限されるのは、やむを得ないことであるのは、最高裁も認めています。
政府が裁量を越えて人権を踏みにじるのを縛るものこそ法であり、それを判断するのは裁判所です。
行政手続法のような、行政府を縛るような規定が、入管法の中にもたくさんできても良いのではないかと考えます。
国会での議論において、入管法改正は、稚拙だ、穴だらけだとかいう議論を早く辞めて、
政府が乱暴に外国人を扱わないような法的な縛りを作る、
政府がきちんと外国人の社会保障を手厚くする義務を負わせる等を議論し法に書くべきだと思います。
政府である与党は、過半数を持っているのですから、やりたい放題の法律がまた成立してしまいます。
前向きな議論が求められるところですが、時間を無駄に過ごしてほしくないですね。
注意をもって見守りましょう。