朝日新聞から、最新のニュースが飛び込んできました。
https://www.asahi.com/articles/ASLC63TRBLC6UTIL00X.html
技能実習および特定技能1号には、永住者申請に必要な就労期間として算入しないということが検討されているようです。
ちなみに、今までの永住者申請のガイドラインが緩くなったり、きつくなったわけではありません。
新在留資格の特定技能1号は、就労期間として算入しないことが加わっただけです。
現状でも永住者申請をする多くの方は、留学生として日本に来て、日本語学校+大学+就労を通して永住者申請をします。
日本語学校2年、大学4年、就労しても、最長の在留資格が与えられるまでに、時間がかかります。
パターンとしては、「1年、3年、5年」とか、「3年、3年、5年」とかの就労系ビザの更新を繰り返してから、永住者申請するケースが多いと考えます。
(現在のガイドラインでは3年ビザで、最長のビザとみなすという特例が働いているので、1+3+3とか3+3でも大丈夫です。2018/11/9 追記)
このように見ていくと、政府の見方が良く分かるようになります。
つまり、この留学ビザで来てから就労ビザへ変更するという流れが、そのまま、特定技能1号から特定技能2号に変更するという流れに踏襲されていると考えられます。
日本語学校2年、大学4年で6年ですから、特定技能1号の5年はリーズナブルな期間だということです。
現状は留学生たちに週28時間の範囲内でアルバイトとして単純労働をしてもらっているわけですが、その層をそのまま特定技能1号に持っていきたいということです。
留学生と言って、出稼ぎに来ている外国人を適法に労働者として雇ってあげるという思惑が見え隠れしているような気がします。
ですから、政府としては海外からすぐ特定技能1号を持った外国人を呼ぶというような運用は、それほど念頭にはないのではないかということです。
実に、いま日本に留学ビザで滞在している日本語学校生や専門学校生たちを、スライドさせようとしているわけです。
技能実習という制度は、「労働力の調整に用いてはならない」ということが大前提ですから、特定技能との親和性は、ゼロです。
いかに、政府が無理やり技能実習⇒特定技能と結びつけても、法律はごまかせません。
相矛盾した制度をそのまま残すのは、確かに日本のお家芸かもしれませんが、さすがに本音が労働力確保のための技能実習となってしまっているわけなので、本物の労働力確保制度である特定技能の前には、かすんでしまい、そのまま廃れるのではないかと考えられます。
(むしろ、この破たんして、評判も悪い制度を自然消滅させて政治説明責任を負わないという戦略なのではないか?とまで勘ぐってしまいます。)
とすると、予想されるのは、次のようなパターンです。
ひとつは、日本語学校が現地国にどんどん設立されて、特定技能1号を取得させて日本へ送り出す組織が表れるパターンです。
これは既に行われているパターンですが、現地の大卒生が日本語を学んで就労系ビザを取得するという結構ハードルの高いものだったことに比べると、特定技能1号を取得させることはそれほど難しくないのではないでしょうか。
ただ、現状でも怪しいブローカーが暗躍しているのですが、この入管法改正の混乱期を狙って詐欺を仕掛ける集団も大量に出るような気もします。
もう1つは、日本にある日本語学校や専門学校に留学ビザで送り出して、そこから特定技能1号に変更させるパターンです。
まだ、日本語学校や専門学校の留学ビザからの特定技能1号への変更は議論されていないわけですが、恐らく政府の見方としては、最も重要なスキームとして考えられているでしょう。
現状では大卒者、専門卒者しか就労系ビザを貰えなかったのですが、それよりも、さらにスムーズに変更許可がでる可能性が高くなります。
私個人としては、特定技能2号に早くなってもらって、永住者申請要件を満たし、永住してくれる外国人が増えていただきたいというのが願いです。
それか、特定技能1号の内に、専門学校へ入学するとか、夜間大学に通い大卒を取るとかして、技術・人文知識・国際業務を目指してからの、永住も良いと思います。
もちろん、出稼ぎに日本に来て本国にお金を持ち帰るという目的も良いとは思いますが、せっかく日本に来ていただいたのですから、長くいてもらいたいですね。
ちなみに、技術・人文知識においては実務10年、国際業務においては実務3年で、経験要件を使って技術・人文知識・国際業務のビザを取得することが可能です。
特定技能ビザの経験が、すぐに技術・人文知識・国際業務の経験へとスライドできるとは限らないとは思いますが、ある程度いけるのではないか、とも考えます。
この辺の実務的なコンサルタント、戦略を建てること、なによりも情報を素早く集めて対応することが、実務家である行政書士には求められているようです。
P.S.
すごく細かいことですが、「永住権の申請」という言葉は法的な言葉ではありません。
よく使ってしまうわけですが、正しい表現は「永住の申請」もしくは「永住者の申請」です。
永住権という権利は法定されていないということですね。
はい、マニアック。