この記事読みながら、入管のやり方に怒りも覚えますし、
難民認定の厳しさも政府は何とかすべきですが、
ジャーナリズムの方も勉強して、誤解を与えないように書くべきです。
記事の中に、
『法的に日本人女性の夫となったIさんの在留資格が認められないこと自体がおかしいことだが・・・』
と書いてありますが、
実は、入管法のどこにも、法的に結婚したら在留資格が認められるなんて書いていません。
(なにより、この法的にと書いてある、法とは何法なのでしょうか?)
審査基準の中には、
「同居し互いに協力し、扶助しあって社会通念上の夫婦の共同生活を営む結婚の実体が伴っていない場合は、認められません。」
とあります。
まず、気が付かなければならない事実は、
「入管法上の結婚」と、「民法上の結婚」は解釈が違うって言うことです。
民法上は、意思のみが大切ですから、実体なんて伴ってなくても、意思+届出で、有効に成立します(結婚の無効は、非常に狭い範囲でしか認められません)。
しかし、入管法では、相互扶助などの実体を気にするわけです。
というのは、在留資格は、配偶者としての『身分』に与えられるのではなく、
配偶者としての『活動』に対して与えられるからです。
よって、結婚が成立しても、配偶者として活動をするかどうかは明らかじゃないわけです。
これが、年の差婚や、スピード婚、財産の差婚において、外国人に在留資格が認められにくい理由の一つです。
(しかも、実務運用上は、ちょっと古い日本的ないわゆる「家庭」の考え方で、審査されます。)
配偶者の在留資格においては、
精神的、肉体的な結合、つまり『家族的結合』をどれだけ証明出来るかが、重要となってきます。
にしても、入管は不許可の時の理由がとても不親切ですし、離婚しろというような行政指導は論外だとは思います。
とにかく、関わっている弁護士さん、行政書士さんが、法的にガンガン攻めて、彼の在留資格を勝ち取ってほしいと祈ります。
・引用ニュース
日本人女性と結婚のクルド人男性が入管施設で自殺未遂
https://news.nifty.com/article/magazine/12193-037924/1