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取次申請者事務研修の所感 May 29, 2018

取次申請者事務研修の所感

 去る2018年5月25日に神戸において入管への取次申請者の新規登録のための事務研修がありました。
 その内容について所感を述べたいと思います。


1、入管への申請の許可率の高さにびっくり

 全て2016年の統計データです。

・在留資格認定証明書交付 東京90.14%(全国89.51%)

・在留期間更新許可申請 東京98.29%(全国98.53%)

・在留資格変更申請 東京91.24%(全国94.05%)

・永住許可申請 東京61.21%(全国67.55%)

 たしかに、永住許可が難しいのは、なんとなくわかっていましたが、しかし、認定・更新・変更の許可率の高さは何なんですかね。
 すべて9割超えているという、ものすごい結果。
 これは、実務上の経験とは違った結果となっています。実務上は難しいと言われる限界案件をやっているので、全体から見るとやはり許可率は低いのでしょう。
 この数字の中で、取次申請者が取り次いだときの許可率と、本人申請における許可率と比べて見たい気もしますが、そのデータは公表されないんでしょうな。
 まあ、行政書士が書類を作成して、本人が持っていくという場合もあるでしょうから、その数字は意味がないとも考えられます。
 
 これをみると、行政書士や弁護士の事務所において、入管申請許可率92%の実力です!とかうたっているのは、普通だということになります。
 同業者に文句を言うわけではありませんが、入管申請において数字を出すのは意味がありません(笑)
 

2、やはり、マクリーン判決で止まっている

 この研修会に、入管の職員の方が来られて講義をなさっていることを考えると、入管に不利な情報を載せないのは理解します。
 ただ、この研修会だけ参加して、その知識で実務に当たろうとする(そんな先生は、いらっしゃらないんでしょうけど)と、入管の広範な裁量にビビりながら仕事をすることになってしまいます。
 
 マクリーン判決(最高裁昭和53年10月4日判決)は、憲法を学ぶと必ず勉強する判例です。
 この裁判では、『法務大臣の在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるかどうかの判断について、全く事実の基礎を書きまたは社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限り、裁量権の範囲を超えまたはその濫用があったものとして違法になる』と判示していて、法務大臣の処分が違法となる場合は限定的であるとしているものです。

 この判決だけが独り歩きして、入管法上の申請に広範な裁量が認められていると教えられるわけです。
 
 たしかに、入管法の書き方は、在留期間更新、変更の場面で、「許可することができる」と書かれていますので、行政庁に裁量権を認めている書き方をしています。
 しかし、その裁量権が何ら統制をもたない広範で自由な裁量という意味ではありません。
 
 行政書士会の無料で見ることができる国際業務の講習の中に、弁護士である山脇先生の講義があって、その中で何度も述べられていることですが、
 最高裁平成27年3月3日判決の出現により、マクリーン判決は、かなりの場面でその立場を失っているわけです。
 
 この判例の中では、『この意味において、当該行政庁の…処分における裁量権は、当該処分基準に従って行使されるべきことがき束されており、』と判示しています。
 最高裁判所は、行政庁が定めた処分基準が、行政庁自身を拘束するということを認めたわけです。
  
 直接的に入管における基準(各種ガイドラインなど)に、この判例を適用することは出来ませんが、しかし、その趣旨は十分に及んでいることは、様々な学者が認めているところです。
 (直接的に適用できるように、裁判例によって、確立することが望ましいとは思います。弁護士の先生!お願いします!)


 ガイドラインを無視して入管へ申請するというような行政書士・弁護士の先生はいないのでしょうから、実務上はそれほど問題にはならないのでしょうが、
 しかし、入管が広範な裁量権を持っているという前提だけで仕事をするのと、その裁量は拘束される要件もあるという前提で仕事するのとでは、かなりの差が生じると考えられます。
 
 ゆえに、行政書士の入管取次申請の研修では、そのような裁判例もあるというような講義があってしかるべきではなかった?とは思います。
 たぶん、講義をされている行政書士の先生も、言いたくてしょうがなかったのかもしれません…。
 
 
3、最後の考査、簡単・・・。

 この研修には最後の考査があります。30問と思いきや、10問ですし、講義をきちんと聞いていると、すぐ答えられる問題が7割です。
 なによりも、配られた資料をすべて見ても良い、というご配慮をいただいておりますので、調べればすぐわかるものばかりでした。
 特に、見ることができる資料の中に、法令集が入っているので、行政書士の先生なら、みなさま余裕かと思います。
 
 ただ、怖いのはマークミスです。こればかりは、何度確認しても、恐怖心は払しょくできませんでした。
 合格が届くか、不合格がとどくかで判断するしかないですね。
 ドキドキしながら、待っております(笑)
 
 
4、やっぱ時間かかるのね。

 行政書士の全ての登録手続きがそうなのですが、非常に時間がかかります。
 研修を終えて合格証が届くのが2週間後以降、さらにそこから各行政書士会に申請して、取次者カードが届くのはさらに2週間以上かかるようです。
 お役所の仕事が時間かかるのと同じなのですが、インターネットがあるのですから、電子申請システムを導入して、人件費を抑えたらどうかと思います。
 ICカードによる本人確認も、各自治体、税務署は導入してますから、そんなに難しいことじゃないはずなのですが、待つしかないんですよね。とほほ。

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