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在留資格「高度専門職」は使いにくい!? Feb 10, 2023

在留資格「高度専門職」は使いにくい!?

どうも、こんにちは、新宿は高田馬場で入管業務専門の行政書士の辻です。
今回は、在留資格「高度専門職」の使い難さ(デメリット)についてお話をして見たいと思います。

0、在留資格「高度専門職」って何?

グーグル先生に聞けば、基本的な情報は出てくると思います。

高度専門職ポイントが70点以上(ロ号・ハ号は年収300万以上)あって、職務が研究・教授系(1号イ)、技術・人文知識系(1号ハ)、経営・管理系(1号ロ)であれば、在留資格「高度専門職1号」になれます。

また、高度専門職1号で3年以上継続して在留していると、高度専門職2号になることが出来て、こちらは在留期限が「定めなし」となり更新申請は必要なくなります。

高度専門職のメリットは、よく以下のように説明されます。

①無条件に在留期限は5年(1号のみ)
②審査が速い(最近はそんなに速くない、ただ2号は60日程度であって、永住申請の約半年に比べれば超早い)
③同居する配偶者様は、大卒じゃなくても、事務職で働ける
④条件が整えば、子供が7歳になるまで、自分か配偶者の親が呼べる

*なお、永住許可の要件が緩和されるというメリットを説明していることがありますが、
 あれは、在留資格「高度専門職」のメリットではなく、高度専門職ポイントのメリットで、別物です。
*そして、何よりも、永住申請を目標とする場合、後述しますが、ほとんどの場合、在留資格「高度専門職」にはならない方が良いです。


このようなメリットが沢山ありそうに見える、在留資格「高度専門職」ですが、実務上はめちゃくちゃ使いにくいです。
ときに、デメリットがメリットを上回ります。その話を少しずつして行きましょう。

1、使い難さの原因は、入管法の定義にあり

さて、在留資格「高度専門職」の入管法上の定義をきちんと押さえなければなりません。

入管法の別表1の2の中に書いてあります。
以下、そのまま引用します。

一 高度の専門的な能力を有する人材として法務省令で定める基準に適合する者が行う次のイからハまでのいずれかに該当する活動であつて、我が国の学術研究又は経済の発展に寄与することが見込まれるもの

イ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営し若しくは当該機関以外の本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動
ロ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学若しくは人文科学の分野に属する知識若しくは技術を要する業務に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動
ハ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い若しくは当該事業の管理に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動

二 前号に掲げる活動を行つた者であつて、その在留が我が国の利益に資するものとして法務省令で定める基準に適合するものが行う次に掲げる活動

イ 本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導又は教育をする活動
ロ 本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動
ハ 本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動
ニ イからハまでのいずれかの活動と併せて行う一の表の教授の項から報道の項までの下欄に掲げる活動又はこの表の法律・会計業務の項、医療の項、教育の項、技術・人文知識・国際業務の項、介護の項、興行の項若しくは技能の項の下欄若しくは特定技能の項の下欄第二号に掲げる活動(イからハまでのいずれかに該当する活動を除く。)

*ちなみに、漢数字の二と、カタカナのニが分かりずら過ぎます…。

ここで最も重要なのが、1号のイ・ロ・ハすべてにあるこの文言です。

「法務大臣が指定する本邦の公私の機関」

この「指定する」と書いてあるのが、すべての元凶です。

ちなみに、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の場合はここはどうなっているかというと、「本邦の公私の機関」となっています。
つまり、「指定する」がありません。

この「指定する」が付いているゆえに、在留資格「高度専門職」では在留カードだけではなく、指定書がパスポートに留められます。
その指定書には、法務大臣が指定した本邦の機関の名前が書いてあります。

ということは、この指定書に書かれている以外の機関で働くことは…、出来ないということです。

良く転職したら、高度専門職は変更が必要だという話が出るのは、入管法のここが原因です。

そして、この「指定する」が付いていることは、さらにめんどくさい問題を生じさせます。

2、契約が増えるたびに、変更申請する必要あり

指定書に書いてある機関以外では働くことが出来ません。
 *もちろん「関連する事業を経営する活動」が入ってくるのですが、かなり限定的にしか用いられません。

ということは、転職の時だけではなく、契約関係が増えるたびに変更が必要です。
しかも、変更申請が終わるまでは、新しい契約先で働くことが出来ません。

契約には、雇用、委託、派遣などの全ての契約関係が入っていますから、もし、そのような契約関係がある場合は、変更申請が必要です。

ここで注意すべきは、本人が気が付かない状態で、契約関係が新しく出来上がった時です。


例えば、在籍型出向の場合がそれにあたります。

本人は、雇用されている会社に命令されて、違う会社(通常は子会社とか)に出向します。

この時、元々雇用されている会社との契約関係が切れない時があります(=在籍型出向)。
出向先で、契約書にサインしない場合も、あるかもしれません。

しかし、在籍型出向の場合は、出向先と本人との間での契約関係が自然に生じます。

ということは、在籍型出向であったとしても、出向先との契約が生じるので、変更申請が必要になります。
サインしていなくても、変更申請が原理的に必要です。

厳密に言えば、数週間の出向であっても、変更申請をしなければ、不法就労となります。


ちなみに、出先会社との契約関係がないのは、派遣労働があります。
 *会社間の請負契約に基づいて本人が出先会社へ行く場合も契約関係が出先会社とは無いのですが、
  この場合は、出先の会社からの指揮命令を受けられないので、出向に似せた形では使えません。

ということは、派遣という形であれば、在籍型出向と外形的には同じことが出来て、しかも、新しい契約関係はないので変更申請も必要がありません。

しかし、もちろん、労働者を派遣するためには、会社自体が労働者派遣事業者としての登録が必要となり、
雇用されている会社がその認可を受けている場合は極めて少ないと思われます。


職務を変えずに副業する場合も、すべての副業先において指定書が必要となりますので、その都度、変更申請をしなければなりません。

副業が許されている会社でSEとして働く方が、違う会社でもSEとしてプログラムを書く場合は、変更申請が必要です。
 *もし、この方が大学で教えるということになると、今度は、高度専門職1号イにかかる資格外活動許可申請が必要です。
  これは通常の技術・人文知識・国際業務と同じです。


もし、在留資格「技術・人文知識・国際業務」ならば、契約がいくら増えようが、出向しようが、派遣されようが、何をしようが、変更申請は必要ありません。
 *届出は必要です!1枚の紙を入管に出すだけですが…。

指定書が無いからです。
高度専門職は、指定書があるがゆえに、契約関係が増えるたびに、変更申請が必要だという、めんどくさい(デメリット)ことになっています。

3、単純な転職だとしても、細心の注意が必要。

さらに、指定書があるということは、指定書に書いていない会社では働けません。
ということは、単純な転職をするとして、変更申請をしたときも、細心の注意が必要です。

もし、転職活動を前職の退社前にやり、転職先が見つかった場合、恐らく前職を辞めずに在留資格「高度専門職」の変更申請をするでしょう。
それが、許可されたとします。

「よし、早めに在留カード取りに行くぞ!」ということが、在留資格「高度専門職」では出来ません。

というのも、在留カードを受け取るということは、指定書の内容が変わるということです。
つまり、在留カードを受け取った瞬間、もう、その日から前職では働くことが出来ません。

ですから、在留カードの受け取りは、前職を辞めた日、退社日以降であるべきです。
 *厳密には次の日以降

もちろん、新職場への入社日は、在留カードを受け取った日以降でないといけません。

ということは、このような方程式が成り立ちます。

前職の退社日<在留カードを受取日≦新職の入社日

これを守らなければ、不法就労となります。


万が一、オンライン申請をして、在留カードを郵送受け取りとかにしてしまったら、この在留カードの発行日をコントロール出来ないので、
相当早めに在留カードをおだいば分室に送っておいて、『〇月〇日に、在留カードを発行してください』と一筆添える必要がありますが、その希望に応えてくれるかどうかは入管次第となり、非常に危険です。

在留カードを取りに行く日に注意を払わなければならないなんて、恐らく、専門家じゃないと無理な相談でしょう。

4、高度専門職2号の子供は、家族滞在しかもらえない

高度専門職2号は、永住者と同じという説明がなされる場合がありますが、全く違います。

高度専門職2号は、在留期限が無いだけの就労系の在留資格です。
ですから、別表1に書かれているのです。

永住者は別表2に書かれていて、身分系と言われています。

この違いは、日本で子供が生まれた場合に大きな差を生みます。


つまり、永住者から生まれた子供は、60日以内に申請をすれば、永住者となれます(=取得永住)。

しかし、同じく在留期限が無いのに、高度専門職2号から生まれた子供は、どんなに頑張っても、家族滞在しかもらえません。

この子が永住者となるためには、永住申請が必要となります。
しかも、この子は永住者の子供ではない為、この子には10年の居住要件が必要となります。
 *もし永住者の子供であれば、居住要件は1年で良い。


悲劇は、例えば、このような場合に起きます。

永住者と永住者の配偶者の夫婦がいたとしましょう。
出産を控えているので、子供の養育のために、本国の親を呼び寄せたくなったとしましょう。

ここで、生まれる前から、手伝ってほしいと思って、子供が生まれる前に永住者から高度専門職に変更したとします。
そうすると、高度専門職から生まれた子供は家族滞在になってしまいます。
 *ちなみに、高度専門職に変更した時に、配偶者は家族滞在(働いているなら特定活動)への変更が同時に必要です

元々、永住者だったのにもかかわらず、高度専門職になったばかりに、子供が永住者がもらえられないという悲劇がここに起こります。


たとえ、第1子は永住者‐永住者の配偶者で産んで、永住者となり、その後に、親を呼び寄せるために高度専門職になってから親が来たとしても、
この間に、第2子が生まれてしまうと、第1子は永住者がもらえたのに、第2子は家族滞在しかもらえません。

このような落とし穴、この悲劇を避けるためには、
永住者の配偶者であった人を、親を呼び寄せる前に、永住者としておくしかありません。

そうすれば、片方が高度専門職になっても、片方は永住者なので、生まれてくる子供は永住者となれます。

5、高度専門職になった方がいい場合は、どのようなものがあるか?

まず、永住者の申請で優遇を受けられるから高度専門職になるのは、全くのナンセンスです。

高度専門職は指定書が付くので、もし、指定書外での就労が見つかれば、不法就労で、知らなかったでは済まされません。
目標である永住申請に大きなマイナスになります。

永住者の申請での優遇は、在留資格「高度専門職」に与えられるのではなく、高度専門職ポイントを持っているかどうかで判断されます。
ですから、優遇を受けたいというニーズは、在留資格「技術・人文知識・国際業務」でも十分に満たされます。

非常に使いにくい、高度専門職になる必要は全くありません。

では、あえて高度専門職を選ぶような場合、私が個人的に考える在留資格「高度専門職」となるべき方は、以下のような場合です。


①新卒(もしくは日本に来たばかり)で、高度専門職ポイントが80点以上あるが、就職する会社の規模が小さい

就職する会社の規模が小さい(カテゴリー3、4)場合、新卒や日本に来たばかりで新しく在留資格「技術・人文知識・国際業務」をもらう時はだいたい在留期限が「1年」しかもらえません。

高度専門職ポイントを80点以上持っている場合は、1年経てば永住申請が出来るはずですが、在留期限が「1年」だと原理的に永住申請が出来ません。

次の更新の時に在留期限「3年」となれば、1年数か月後に永住申請が可能になるわけですが、更新してもまた「1年」である可能性も否定できません。

この時は、1度目の更新がまた「1年」であった後に、無条件に在留期限「5年」をもらえる在留資格「高度専門職」となって、すぐ永住申請をすればよいことになります。

なお、この場合でも、高度専門職ポイントが70か75点の場合は、3年の在留が必要なのですが、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の更新は、在留期限が1年→1年→3年となることが多く、3年後には在留期限「3年」を取得している可能性が高いので、あえて、高度専門職になる必要はありません。

万が一、1年→1年→1年→1年と4回連続ならば、即刻、高度専門職(70ポイント)になって、それから永住申請すればよいわけです。

②配偶者様が大卒・専門学校卒じゃないけれども、事務職で働きたい

高度専門職の同居する配偶者の方は、学歴要件が必要なく、事務職として会社で働くことが出来ます。

事務職と言っても、在留資格「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」又は「興行」の活動だけです。

 *話はずれますが、何で興行が含まれているのか不思議です。
  高度専門職を取得するようなセレブな方の配偶者はモデルとか、芸能人が多いからなのでしょうか…。
 
ですから、配偶者様が、大学を出ていないが、しかし、会社で働きたいと言う場合は、配偶者様のために在留資格「高度専門職」になるのは有りです。

この場合でも、配偶者様の在留資格は「特定活動」であって、指定書が付きます。

ゆえに、副業や転職は、高度専門職と同じように不自由です。

③子供の養育のために、親を呼び寄せたい

年収の条件はありますが、自分か配偶者のどっちかの親(2人でもOKだが、両方の家庭から1人ずつは不可能)を子供の養育のために、呼びよせるには高度専門職しかありません。

通常、親の呼び寄せは、かなりの高齢+家族・親戚が本国に誰もいない等の厳しい条件がありますので、普通の状況で親を呼び寄せる目的では、高度専門職は良い選択です。

しかし、前述した通り、もし既に永住者であって、そこから親の呼び寄せのためにだけ高度専門職になる場合は、子供の在留資格という落とし穴があるため、注意が必要です。

6、終わりに

在留資格「高度専門職」の審査が速いというメリットも、最近、特に東京入管での審査は遅く、普通の在留資格と同じような期間かかります。
たしかに、高度専門職2号への変更は、60日程度であり、在留期間に定めのない在留資格になる場合の最速ではあります。

しかし、どうしても指定書が付く(2号は指定書はないが、契約関係が必ず必要)ために、使いにくい面があります。

さらに、日本の労働関連法において、契約関係は非常に複雑なので、契約関係が増えたのか、増えていないのか、実体的にどうなのか、専門家がついていないと判断が付かないところがあります。
ですから、どうしても変更申請が必要なのにしていなかった、不法就労状態だったというケースが増えてしまいます。

このことは、永住申請をするときに「適法なる在留」に響いてしまい、高度専門職としてのアドバンテージを簡単にふっ飛ばしてしまします。

どうしても5年の在留期限が必要、どうしても大卒じゃない配偶者が働く、どうしても子供の養育のために親を呼び寄せたい、このようなニーズがない限りは、扱いが難しい在留資格「高度専門職」になる必要は無いというのが結論です。

もし、それでも在留資格「高度専門職」となりたい!と言う場合は、必ず、お近くの専門家(行政書士や社労士、弁護士)に相談をして頂ければ、適法な在留を保つことが出来る可能性が上がると思います。

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