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在留資格諸申請がスマホで10分で終わる世界はやってくるか? Sep 22, 2022

在留資格諸申請がスマホで10分で終わる世界はやってくるか?

皆さんこんにちは、新宿は高田馬場にいる入管業務専門の行政書士の辻です。
日本の役所が「DXだ、DXだ」と言われて久しいですが、デジタル庁も本腰を入れて紙での管理を辞めるように頑張っています。

在留資格の諸申請においても、オンライン申請の運用は2019年7月にかなり狭い範囲の在留資格で始まって、今年2022年3月にほぼすべての在留資格へ申請対象が拡大したことにより本格始動しています。

このオンライン申請に関しては、まだまだ足りないところがありつつも、入管に行かなくても在留資格諸申請が出来るのは申請人本人や取次ぎ申請をする行政書士にとって革命的です。

特に、外国籍の方を雇用している会社は、オンライン申請に登録すればそれだけでカテゴリー2相当とみなされて提出書類は減りますし、何よりも自社が取次申請の資格を持つ事ができるので、行政書士などに依頼する必要がありません。
ですから、企業の場合は、在留資格諸申請をすれば、かなりのコストダウンを図れる可能性(すでにコストダウンしたとは全く言えない)を秘めています。

ただ、外国籍の方本人がオンライン申請するためには、マイナンバーカードが必要ですし、カードリーダーを使ってパソコンで申請する必要があり、スマートフォンではできません。

そのような状況で、では題名の通り、在留資格諸申請がスマホで10分で終わる世界はやってくるのでしょうか?

それは完全に不可能なのでしょうか、それともどのような条件をクリアすれば可能なのでしょうか?
そうなった時に、政府が思い描くオンライン申請はどのようなものなのでしょうか?
そして、そのような世界が来た時、外国籍の方々や、行政書士にはメリットやデメリットがあるのでしょうか?

1、外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ

まず、2022年6月14日に政府が出したロードマップを紐解いてみましょう。

特に入管業務をやってらっしゃる専門家の方は必読のものです。

コチラに全文を見ることができます。
https://www.moj.go.jp/isa/policies/coexistence/04_00033.html

この26ページを見ると、興味深い項目がたくさんあります。
まず、このような項目です。

『法改正及び関係機関との必要な調整等を通じて、出入国在留管理庁において、在留管理に必要な情報を一元的に把握できる仕組みを構築するための検討を行う。【法務省】《82》』

現状では、入管は在留資格審査や管理において、各省庁が持っている情報を取得するハードルが高いです。
ですから、入管は例えば在留期間更新許可申請で、場合によって住民税課税証明書などを求めます。

住民税課税証明書は各市役所や東京23区であれば区役所がデータを持っていますが、入管が気軽に在留資格審査のためにそのデータにアクセスすることが出来ないわけです。

同じように、年金事務所やハローワーク、税務所が持っているデータに入管はアクセスすることが出来ません。
もしこのようなことが出来れば、永住申請で提出する大量の資料は全くいらなくなるでしょう。

ただ、この82番が言っているのは、在留資格の審査場面ではなくて、管理の場面だけに特化して書いてあります。

つまり、入管は様々な省庁にあるデータベースにアクセスすることを可能として、不法就労などの不正行為を速やかに、そして簡単に見つけ出すようにすることが目標です。

この延長で、管理に使う情報を審査にも使うのは、もちろん、考えられることでしょう。


さて、次にこのような項目があります。

『在留資格手続のオンライン申請や電子届出について、完全オンライン化の実現を図るとともに、オンライン申請時において、申請人がマイナポータル上の自己情報を利用できる仕組みの構築を検討する。【法務省】《83》』

政府は現在のオンライン申請をさらに拡大して、完全オンライン化を実現すると目標を立てています。

これには年度目標もあって、2023年までに検討、結論を出して、2024年からは普及・改善をしていくとしています。
さらにマイナポータル上にある自分の情報(たとえば、年金など)を、マイナポータル経由で取得して、そのまま入管のオンライン申請へ流すようなシステムを検討していくと書いてあります。

現状のオンライン申請では、すべての情報は自分が打ち込まないと完成しません。

このような目標が成し遂げられれば、マイナンバーだけで、すべての情報を引き出すことが出来て、そのまま自動で申請することが出来るようになるでしょう。

まさに、確定申告のように、マイナポータルとの連携により、速やかな申請書作成が可能となるはずです。


さらにもう一つ、この項目が大切です。

『マイナンバーカードと在留カードの一体化について中長期在留外国人がより高い利便性を得られるものとするための検討を更に深め、関係府省庁において法令等の整備及びシステム改修を経て、令和7年度(2025 年度)から一体化したカードの交付開始を目指す。【法務省】《85》』

この項目のロードマップは非常に具体的です。
ということは、この項目に関しては、かなり本気で取り組むことが検討されているということです。

もともと、マイナンバーカードに保険証をくっつけたり、運転免許証をくっつけたりしていましたから、在留カードと一体化することも納得はできます。

2022年末には、必要な法律を成立させて、2025年には一体化したマイナンバーカードを交付するとされています。

ここで、一つメインの話から離れはしますが、考えたいのは、マイナンバーカードと在留カードは統合されるが、マイナンバー自体と在留カード番号は統合されないだろうということです。

健康保険に関しても、年金に関しても、運転免許に関しても、それぞれに割り振られている番号がマイナンバーにとってかわったという例はないです。
つまり、マイナンバーとそれぞれの番号が紐づけられているだけであって、マイナンバーそのものが運転免許証番号であるわけではありません。

ですから、私の個人的な予想としては、在留カード番号はそのまま残って、マイナンバーに紐づけられるのではないかと考えられます。

現在進められているマイナンバーカードと運転免許証が統合されるイメージ図においても、ICチップに入っている情報の中で、警察は運転免許の情報だけにアクセスすることができて、マイナンバー固有情報にはアクセスできないことになっています。

ですから、マイナンバーカードと在留カードが統合されると、マイナンバーカードのICチップに在留カードの情報が追加で記録されて、
読み取りアプリなどを使っても、在留カードの情報を読めるが、マイナンバー固有情報は読めないという仕様になるのではと考えられます。

ただ、この場合は、入管はマイナンバーを使うことができないので、入管側から見れば在留管理や審査にマイナンバーを使って情報の収集、調査はできないことになります。


以上のロードマップを見ると、税務署や年金事務所のようにガッツリとマイナンバーを用いて情報を連携して運用をしていくというよりは、
運転免許証とマイナンバーカードが統合されるときのように、マイナンバーを直接扱うのではないような未来予想図となります。

2、どのような条件がそれろえば、スマホ10分申請が可能になるか?

確定申告に関しては、スマホでマイナンバーカードを読み取り、10分とはいかないまでも、簡単に申告を終えることが出来ます。
このような世界は、在留資格の諸申請にもやってくるのでしょうか?

技術的には、可能であることは、確定申告が既にできているという事実から明らかです。

各省庁が持っているデータベースが、マイナンバーに紐づいています。

もし、入管がマイナンバーを使うことができるようになるならば、
例えば、会社員が在留資格「技術・人文知識・国際業務」にかかる申請をしようとしたときに、自分のマイナンバーと、務めている会社の法人ナンバーだけを提出すれば、

入管は、マイナンバーからどこに勤めていて、どこから給与をもらっているのか、その額はどのくらいか、納税義務などをやっているか全部分かります。
また、務めている会社の法人ナンバーから、その会社がどのような税務状況にあって、継続・安定しているのかが全部分かります。

そのような判断を入管がマイナンバーだけで出来るようになります。

これが出来れば、十分にスマホ10分申請は、可能です。


そうではなくても、政府ロードマップの思い描くように、マイナポータルを用いて、自分で情報を収集し、その情報を自動で入管に送るようにはなるでしょう。

つまり、入管が自ら情報を集めるのではなく、申請人本人が情報を集めて入管に提出するというやり方です。

この場合は、スマホ10分はつらいかもしれませんが、スマホ30分とかなら行けるかもしれません。


ちなみに、入管諸申請においては、その申請に関する事実がその通りであることを疎明する責任は、申請人側にあります。
申請人が提出する情報は最小限であり、入管があらゆる調査をするというような構図は、本人の疎明責任を無視したと解釈されるかもしれません。

ですから、申請人が情報を収集するときに、今やっているような各役所から書類を取得するのではなく、マイナポータルを使って一気に収集するという形になるのかもしれません。

ただし、この場合は、申請の取次者においては、申請人個人のマイナポータルを覗くことはできないので、今まで通り書面でもらうしか無いかもしれません。

3、スマホで完結する、完全オンライン申請が成し遂げられれば、どうなるか?

既に確定申告は、スマホで完結することも出来るのですから、技術的には可能だと言う話はしました。

法改正、特にマイナンバー法の改正によって、入管がマイナンバーを扱えるようになれば、スマホ10分申請は、すぐそこです。
もちろん、入管がマイナンバーを扱えるようには、ならないんじゃないかという予測もできます。

もしマイナポータル経由で、住民税課税・納税証明書の内容だけでも自動取得できれば、本人がオンライン申請するときにかなり楽になります。
現状のオンライン申請では、添付資料は10MBまでですから、資料が多いとPDFファイルをかなり圧縮しなければ、容量オーバーになります。

特に、マイナンバーカードと在留カードが統合するのは確実(目標は2025年)なので、これが終ると、全ての外国籍の方がオンライン申請をする準備はできるわけです。

政府の目標通りに、5年くらいで完全オンライン申請へ移行できるかどうかは、現状から考えると個人的には疑問ですが、遠からず実現するのではないでしょうか?


こうなると、今入管にいらっしゃっている外国籍の方の大部分は、入管に来なくてよくなります。

みんなスマホで、マイナンバーカードを使って、在留期間の更新ができるようになります。
外国籍の方の利便性は相当上がると思っていいでしょう。

この時代になっても、全ての在留資格でできるようになるかは、かなり疑問で、外交、短期滞在、告示外の特定活動、告示外の定住者あたりは、入管に行かないとできないかもしれません。

私の個人的な希望ですが、入管に飛行場にあるようなチェックイン機のようなものが並んでいて、そこでマイナンバーカードを読み取って、マイナポータルから情報を引き出して、そこで申請するという窓口対応になったらとても良いと思います。


入管は、この前の入管法の改正の時点から、出入国と在留の管理を行うように目的が変更されました。
今までは、出入国管理だけをしていて、在留管理はしていなかったのですが、これからは在留管理を強化するということです。

この在留管理において、入管がマイナンバーを中心に用いて様々な情報を在留管理に用いるなら、かなり効率的に、そして積極的に在留状況の調査をすることが可能です。

友人の行政書士が、「もう、在留期間の更新もいらなくて、自動更新されるんじゃないですかね?」とおっしゃっていました。

そのとおり、在留管理がその都度その都度、適切に行われるならば、在留期間の更新申請時点で在留状況をチェックする必要はなくなります。
転職したなどの特別な理由があるなら別ですが、なんの事情も変わらない在留期間の更新申請はやらなくて良いことになります。

そこまでの世界がやってくれば、もう理想的です。


こうなった世界で、行政書士などの専門家は何をしているのでしょうか?
まず、申請書を作る(情報を転記する)という仕事は、完全に駆逐されるでしょう。

マイナポータル連携を使えば、自動的に申請書を作ってくれるのですから、わざわざ依頼する必要はありません。

『企業のカテゴリー1(上場企業)に勤めている、状況の変更がない方の在留期間の更新を依頼して〇〇万円の報酬』とかいう仕事は消えていきます。

入り口としての在留資格申請は、まさに0円の時代となるかもしれません。


そうなったら、専門家は法的なアドバイスに徹することになるでしょう。
それか、事実認定が微妙で難しい案件、複雑な状況が重なって丁寧な書面作成が求められる案件、不許可の案件などなど、いわゆる難易度の高い案件が残るでしょう。

対企業でいえば、入管がマイナンバーを使って(使わなくても)、各省庁との情報交換が本格化して、在留管理が厳しくなるなら、税務調査のような頻度で在留調査がやってくるかもしれません。

そうなれば、今の税理士の顧問と同じような立場で、企業顧問として在留資格のアドバイザーになる仕事は残るでしょう。

個人的な希望としては、入管の在留管理を非常に厳しくして、軽微な労働法関連違反にかかる不法就労などを、どんどん摘発するようになって欲しいと思っています。
運転免許制度のように、違反点数制度と違反切符制度を導入するのも、私は有りだと思っています。

こうなれば、法順守という意味で、専門家がなすべき仕事は増えますし、また責任も重くなるでしょう。
(残念ながら、現状は、軽微な不法就労は野放なので、ここが強化されて在留管理が厳しくなるような世界は来ないかもしれませんが…)


スマホ10分申請は、例えば、事情に変わりが無い単純な在留期間更新だったら、本当にできるようになるでしょう。しかも、そう遠くない未来にです。

ただし、簡略化されるのは手続きの場面だけであって、入管法の解釈が簡単になったり、審査が簡単になったりするわけではありません

入管の審査で行われている判断は、法令に実際の状況を当てはめていくという法律の思考判断です(と、信じたい)。

その難しさは、手続きが簡単になったとしても変わらないので、専門家は外国籍の方への法的なインタープリター、専門通訳・翻訳家としての役割は変わりません。

外国籍の方は、手続きが非常に簡単になるので、事情が単純な場面では、自分で申請をやって、
法的にどうなるかわからない、事情が複雑だ、不許可だったなど、法の丁寧な解釈が必要な場面では、専門家に頼るという2面を使い分けていくような世界となるのではないでしょうか?

速く、そのような世界、スマホ10分で在留資格の諸申請ができる時代になって欲しいと思います。

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当事務所は、東京の高田馬場で外国人のビザ申請取次を専門的に扱っております行政書士事務所です。

入管へのビザ申請は、もちろん、ご自分でもできますが、入管法を知らないでやっても、許可される確率は非常に低いです。入管法に精通し、入管という「お役所」を良く知る行政書士の辻にお任せ下さい。

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